おはようございます。今回からは、具体的な「事業ドメイン」の中身を考察していきます。
実務で新人を指導するときの補助事業計画部分です。
1.エーベルの3次元枠組
①顧客(だれに)②機能(何を)③技術(どのように)を検討します。
事業計画名設定がだいたい30字以内という制限があるのですが、この事業名を悩む時はこの3次元枠を基に構成を考えると言葉が出やすいと考えます。
具体的には例えば
20代男性に最新レーザー脱毛器を安心にお安く提供する事業(27文字)
これでもいいのですが、少し味気ないので審査員に目がとまるように
「癒しの奥義」を安価に提供する若者向け最新脱毛事業(25文字)
ここでは「癒しの奥義」と「安さ」を強みとして差別化する要素で、事業自体は脱毛事業ということが鮮明になります。
ちなみに気の利いた言葉が浮かばなくてもOK。3次元枠の基本である「誰に」「何を」「どのように」を端的に表現できるかが重要だと考えます。
それでは掘り下げの考察をしていきます。今回は①顧客(だれに)の考察です。
(1)顧客(だれに)
私はフレームワークとして、「STP」を活用します。
前提ですが、これを実施する目的は強みを活用して競争優位性を導くためです。
ざっくりいうなら、「外部環境分析②」でしょうか。
ポイントはミクロな視点から①顧客②競合③市場から切り口を検討する点が重要です。
ア.S(セグメンテーション)
日本語でわかりやすくいうなら、「市場の細分化」です。この切り口がさらに4つの観点があります。
①地理的変数(ジオグラフィック)
■エリア・都市の規模・人口密度・気候など
②人口統計的変数(デモグラフィック)
■年齢・性別・家族数・所得・職業など
具体的には商圏の「市町村の人口統計」、精査の必要はありますが「ウィキペディア」等の情報から基本情報が得られます。気候については気象庁のホームページではわかりにくいので、ネットで特徴を調査するか行政に特徴を聞くのもいいかもです。「○○市 気温」「最近の災害情報」など。
Miena(ミーナ)・・・㈱日本統計センターが運営する市場情報評価ナビは商工会・商工会議所で情報取得が可能です。
このレポートって凄く活用できます。店舗商圏を中心に①・②の情報レポートの作成ができますので、時間的な効率化につながります。
③心理的変数(サイコグラフィック)
■社会階層・ライフスタイル・性格など
これは業界雑誌などやインターネット等で調査が中心になると思います。例えば「脱毛市場 男性」と検索するだけで情報が多く検索できます。しかしながら、その情報が正しいものかどうかについては精査が必要です。
④行動的変数(ベヘイビオラル)
■追及便益、使用者状態、使用頻度、ロイヤリティ、購買準備段階、製品への態度など
ん?①~③は勉強で「ジオデモサイコ」みたいに暗記した記憶ありますが。笑。
私も明確に行動的変数という意識は実務上意識はなかったのですが、POSデータによるRFM分析やISMや店舗顧客のAIDMAなど、これはおそらく具体的な顧客行動のことだと考察します。
具体的には、弊社脱毛サロンには20代男性が月に1回程度の頻度で、価格コース○○のサービスを活用し、今まで○○回来店し、○○円の売上等の傾向がある、などの感じでしょうか?
①~③が外への環境調査に対して、④は事業者内部への情報調査となります。個人事業主はPOSデータなど情報がない場合も普通にあるので、ヒアリングや現場調査が必要になるかもしれません。
既存顧客分析から、ヘビーユーザーへ持っていく経営改善指導、逆に潜在顧客の分析に重要で、この切り口は新事業の大きなヒントになると考えています。
少し難しい考察になりますが、ここでの外部環境というのは「顧客の明確化」です。
前段で実施した外部環境分析ではPEST分析などの「マクロな視点」、ここでの観点は「ミクロな視点」ということになります。
実務的には世の中の状況をつらつらと書いても伝わらないので、実際は「今回実施する事業に関する情報」に絞りながら事業計画を書いていきます。
その時の場合によりますが、事業計画ではならここで「ミクロな視点」から競争優位性を導く方がいいと私は考えます。
(重要)実務上の事業計画については、以下の対応をしています。
①前段の外部環境分析に市場細分化要素まで書き、事業ドメイン部分で「まとめ」として記入する方法
※これは小規模事業者持続化補助金など5枚程度の計画書に活用。
②前段の外部環境分析に全国や世界の業界動向(マクロ)を記入。事業ドメインの設定で、自分の商圏内(ミクロ)の内容を記載する方法。
※これは経営革新やものづくり補助金、事業再構築補助金などで活用。
なかなか難しいと私も感じますが、前段の「外部環境分析×内部資源」は「企業ドメイン上の経営資源の課題」の抽出。
事業ドメインは「その課題を解決するための顧客の明確化や競争優位を導くための外部環境分析」と捕らえられるのではないでしょうか?
次はターゲティングです。
自分がしてきたことと診断士の知識を結び付ける作業って本当に良い考察になります。ただ、長考して更新おくれます。笑。